2022-10-16

インドの土地利用のついて

　インドのみならず、農業の分布は気候的な特徴や地形の特性と大きく関連している。そこでまずはインドの気候、土地の性質について整理していく。

　安定陸塊が多くを占めるインドは10°N~25°Nに広っている。南西には低い山脈があり、またプレート運動の影響で北部には8000m級のヒマラヤ山脈がそびえ立つ。ヒマラヤ山脈からそそぐガンジス川とインダス川はヒマラヤ山脈の地面を侵食、運搬し肥沃なヒンドスタン平野を形成している。また中部一帯には火山活動でできたデカン高原が広がり、肥沃なレグール土が分布している。以上がインドの大まかな地形である。

　インドの気候はこれらの地形との関わりが深く、気候は農業と密接な関係がある。ここからは、インド各地の気候を整理すると同時に各地で何が栽培されているのかをまとめていく。

　まずは南アジアと最も関係が深いモンスーンについてである。インドの東北から吹く冬のモンスーンはヒマラヤ山脈に遮られるため、寒気や蒸気の流入は少ない。一方、南西から吹く夏のモンスーンは、蒸気を含んで西ガーツ山脈、ヒマラヤ山脈にぶつかり麓に大量の降水をもたらす。またインドは低緯度帯にあるため、西ガーツ山脈より海岸側、そしてヒマラヤ山脈の麓の平原地帯は夏に雨が多く冬に少ないAw気候となる。これらの地域では年間降水量が1000mmを超えるため、コメの栽培に適している。また、緑の革命によって高収量品種、化学肥料が投入されており、インドのコメの生産量は年々増えている。コメは主に自給用作物として扱われる。コメの生産量では中国についで2位となっている。コメが大量にとれるようになったことは人口爆発の大きな要因にもなった。

　インド南部は基本的に熱帯低圧帯に覆われているるが、中部から北部は亜熱帯高圧帯の影響も受ける。亜熱帯高圧帯の影響下にある地域では殆ど雨が降らないという特徴を持つ。先ほどあげたデカン高原の辺りでは冬にこれに覆われる。しかし夏には熱帯低圧帯に覆われるため短い雨季が存在する。よってここの気候はBSとなる。一方、インダス川流域では、一年中亜熱帯高圧帯に覆われているため砂漠が広がるBwとなる。BSに分類される地域では、その栽培に最適なレグールが広がっていることもあり綿花の栽培が盛んである。Bwの地域では、若干緯度が高く比較的涼しいこと、土地が肥沃なこともあり、インダス川から灌漑をしてら小麦の栽培をしている。どちらも生産量は世界でもトップクラスとなっている。

　最後にその他のいくつかの品種をまとめる。ヒマラヤ山脈の斜面では雨が多いため茶の栽培が盛んである。またインダス川デルタでは、泥っぽい土であることなどからジュートの栽培が多く行われる。ジュートは麻袋などに広く利用されている。これら植物は、コメとは対照的に商業用の作物である。

これらが主なインドの農業的土地利用である。農業は、気候や地形と深く関係していることを理解することが出来た。